JEPQ×VYMで毎月5,600ドルの配当生活|高利回りと分配金の伸び、どちらを取るか

76歳が毎月5,600ドルを2本のETFだけで作っている話
Yahoo Financeで面白い記事を見つけました。76歳の方が、JPMorgan Nasdaq Equity Premium Income ETF(JEPQ)とVanguard High Dividend Yield ETF(VYM)のたった2本のETFで、毎月5,600ドル、年間だと67,200ドル(今のレートでざっくり1,000万円前後)の分配金を得ているという内容です。元記事はこちらです。
How a 76-Year-Old Collects $5,600 a Month From Just Two Funds: JEPQ and VYM(Yahoo Finance)
JEPQとVYM、それぞれの性格
JEPQは、Nasdaq100を中心にアクティブ運用しつつ、エクイティ・リンク・ノートでカバードコール(コールオプションの売り)を組み合わせて毎月分配金を出すファンドです。直近の分配は1株0.70ドルで前月の0.64ドルから増えていますが、月によって0.44ドルから0.70ドルの間でかなり振れます。年率換算の分配金は1株8.46ドルほどで、株価60ドル前後に対して利回りは約14%。経費率は0.35%です。
一方のVYMは、米国の高配当株約400銘柄で構成されるFTSE高配当利回り指数に連動するインデックスファンドです。組入上位はブロードコム(8.0%)、JPモルガン・チェース、エクソンモービル、ジョンソン・エンド・ジョンソンなど。分配は四半期ごとで、金額は年々増える傾向にあります。直近12か月の分配は1株3.63ドル、年率換算では3.92ドルほど。株価164ドルに対して利回りは約2.4%です。
利回り別に見る、必要な元本
年間67,200ドル(1ドル160円換算で10,752,000円)を配当だけで賄うには、利回りによって必要な元本がまったく変わってきます。記事では3段階に分けて整理されていました。
保守的(利回り3〜4%): VYM中心の配当成長型ポートフォリオ。利回り3.5%なら元本は約192万ドル(約2.9億円)。必要元本は一番大きいですが、元本自体も値上がりし、分配金も増えていきます。
中間(利回り5〜7%): 優先株やREIT、配当重視の株式を組み合わせるイメージ。利回り6%なら元本は約112万ドル(約1.7億円)。必要元本は抑えられますが、分配金の成長は鈍ります。
積極的(利回り8〜14%): JEPQのようなカバードコールETFやBDC、モーゲージREITなど。利回り14%なら元本は約48万ドル(約7,200万円)。必要元本は一番少なく済みますが、相場が大きく上昇する局面では上値が抑えられ、基準価額がじわじわ下がっていくリスクも抱えます。
JEPQとVYMを半分ずつ持つとどうなるか
記事では、JEPQとVYMを半分ずつ、合計82万ドル(約1.2億円)持つケースも紹介されていました。高利回り側のJEPQからは年間約5.7万ドル、配当成長側のVYMからは年間約9,800ドルが入り、合計は約6.68万ドル。目標の6.72万ドルにほぼ届く水準です。ブレンド利回りは約8.2%で、67,200ドルを8.2%で割り戻すとちょうど82万ドルになる、という計算でした。
全額をJEPQに寄せて元本を減らさないのはなぜかというと、カバードコールの分配金は基本的に増えていかないからです。VYMは2025年3月の0.85ドルから2026年6月には0.98ドルまで分配金が増えている一方、JEPQは同じ期間で0.44ドルから0.70ドルの間を行ったり来たりしています。VYM側がインフレヘッジであり、元本を目減りさせずに次の世代へ残せる理由でもある、という整理でした。
見落としがちな「分配金の伸び」という視点
年6%で分配金が伸びていく2.4%利回りの資産は、12年ほどで受け取る金額が2倍になる計算になります。一方、14%利回りでも分配金が横ばいか減少気味の資産は、その水準からなかなか伸びません。76歳という年齢なら投資期間はそう長くないかもしれませんが、配偶者や子どもが資産を引き継いで15年、20年と保有し続ける可能性を考えると、目先の利回りだけでJEPQに寄せすぎるのは、将来に問題を先送りしているだけとも言えそうです。
税金でも差がつく
JEPQの分配金はエクイティ・リンク・ノートの仕組み上、多くが普通所得として課税される一方、VYMの分配金はほとんどが軽減税率の対象になる適格配当に該当します。課税口座で持つ場合、この税制の違いによって表面利回りほどの差は実質的に縮まる、という指摘も納得感がありました。米国の税制の話なので日本の課税口座にそのまま当てはめられるわけではなさそうですが、分配金の中身によって税負担が変わるという視点自体は参考になります。
自分ならどう考えるか
この記事の主人公は76歳でリタイア済みという前提なので、今の自分(30代でまだ資産形成の途中)とは時間軸がまったく違います。目先のキャッシュフローよりも、複利で資産を育てる期間の方がまだまだ長いので、素直に読むならVYMのような配当成長型か、インデックス投信での再投資を軸にする方が自分には合っていそうです。ただ、JEPQのような高利回り商品がどういう仕組みで高い分配金を出しているのか、税金の扱いも含めて理解できたのは収穫でした。いつかリタイアが見えてきたタイミングで、キャッシュフロー重視の商品を組み込むかどうか、改めて考えてみたいと思います。