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家計 子育て 2026年9月6日

保育料は住む市で月7万円変わる|大阪・兵庫・奈良39市町村の第1子・第2子・第3子を比較した

幼稚園・保育園を検討していて気づいたこと

子供の幼稚園・保育園について調べていて、大阪市と豊中市が「第1子から保育料無償化」に動いていることを知りました。調べていくと、3歳児クラスからは全国一律で無償化されているものの、0〜2歳児クラスの保育料は自治体によって大きく差があり、住む場所次第で資産形成のペースにも無視できない影響が出ることが分かってきました。そこで大阪・兵庫・奈良の主要39市町村を対象に、保育料がどう違うのか整理してみました。

前提:所得がそれなりにある家庭は、月7万円前後が相場

保育料は「市町村民税所得割額」に応じた階層区分で決まる仕組みで、所得割額が一定額を超えると全員同じ最高階層(最高額)が適用されます。国の基準額表では最高階層の上限は月10万円前後まで設定されていますが、実際に各自治体が徴収している額はこれより低いことが多く、無償化がまだ及んでいない自治体・最高階層のケースだと月55,000円〜80,000円程度、中心的には7万円前後という水準です。共働きで一定以上の所得がある家庭は、この「7万円前後」を前提に考えておくのが実態に近いと思います。

なお、以下の表で「第2子半額・第3子無償」と書いている国の基準部分について補足します。この扱いは所得に関わらず存在する仕組みですが、対象となるきょうだいが就学前で同時に在園していることが前提条件です。年収360万円未満相当の世帯だけ、この年齢・在園の条件が撤廃され、上の子が卒園していてもきょうだいとしてカウントできます。つまりこの記事が前提とする高所得層でも「3人目は無償」の扱い自体は受けられますが、上の子たちが小学生になっている場合はカウント対象から外れ、対象外になることがある点は留意してください。

大阪府:43市町村中13市町村の独自軽減から、府内全域の完全無償化へ

大阪府内では令和5年(2023年)6月時点で、独自の保育料軽減策を実施していたのは43市町村中13市町村(約3割)にとどまっていました。当時すでに突出していたのが守口市で、平成29年(2017年)4月から所得制限なしで全年齢の保育料を無償化しています。

潮目が変わったのは令和6年(2024年)9月です。大阪市が0〜2歳児の第2子保育料を所得制限なしで無償化したのを皮切りに、和泉市・大東市・八尾市・松原市など多くの市が同時期に追随しました(四條畷市は令和5年4月、交野市は令和元年10月と、実はこれより早くから独自に第2子軽減へ動いていた市です)。そして令和8年(2026年)9月には、大阪市をはじめ複数の市が第1子まで無償化の対象を拡大する予定です。財源の仕組み(市単独か、大阪府の後押しがあるか)までは特定できませんでしたが、府内の主要市が申し合わせたように同じタイミングで動いているのは間違いありません。

兵庫県:無償化ではなく「定額補助」が土台、ただし所得制限あり

兵庫県は大阪府とはアプローチが異なります。県内共通の制度として「ひょうご保育料軽減事業」があり、今回調べた10市すべて(神戸市・西宮市・尼崎市・姫路市・明石市・宝塚市・川西市・芦屋市・三田市・伊丹市)で実施されていました。ただしこの制度には所得制限があり、第1子は市町村民税所得割額が57,700円未満、第2子以降は155,500円未満の世帯しか対象になりません。ざっくりとした目安ですが、夫婦と子1人の世帯(片働き)で換算すると、第1子は世帯年収おおむね400万円前後まで、第2子以降は700万円前後までが対象ラインになります(共働きか片働きか、扶養人数などによって前後するため、あくまで大まかなイメージとして捉えてください)。これは市による違いではなく県内共通のルールで、宝塚市であろうと姫路市であろうと基準は同じです。この記事が前提とする「保育料がMAXとなる世帯年収」は、この所得割額を大きく上回るため、実際にはこの補助の対象外になります。つまり兵庫県は中〜低所得層には手厚い制度ですが、高所得層にとっては大阪府のような無償化の恩恵はなく、以下の表に書いた「通常額」をそのまま負担することになります(この事業自体は県内共通のため、以下の表では個別に注記していません)。

そんな中で異彩を放つのが明石市です。平成28年(2016年)9月という早い時期から、所得・年齢の制限を一切設けずに第2子以降を完全無償化しており、兵庫県内では突出した存在です。

奈良県:県レベルの制度はなく、自治体ごとに対応がバラバラ

奈良県には大阪府・兵庫県のような県主導の保育料軽減事業は見当たりませんでした。奈良市・橿原市・香芝市(いずれも令和5年4月〜)、生駒市(令和6年4月〜)が独自に第2子以降を無償化しており、王寺町は平成26年という早い時期から先行実施(令和7年度に所得・年齢の要件を撤廃)しています。一方で大和郡山市・三郷町・斑鳩町は、今回の調査では独自軽減策が確認できず、国の基準(第2子半額・第3子無償)のままである可能性が高い状態でした。

自治体別:第1子・第2子・第3子はどうなるか

大阪府(21市)

第1子第2子第3子以降
大阪市無償化予定
(令和8年9月〜)
無償
(令和6年9月〜)
無償
堺市通常額無償
(令和5年4月〜、所得制限なし)
無償
豊中市無償化予定
(令和9年9月〜)
無償
(令和5年4月〜)
無償
吹田市通常額半額
(国基準)
無償
枚方市通常額無償
(令和2年4月〜、所得・年齢制限なし)
無償
東大阪市無償化予定
(令和8年9月〜、2歳児クラスは令和8年度から先行して独自に無償)
無償
(令和6年9月〜)
無償
高槻市2歳児クラスのみ無償
(令和8年4月〜、独自)
同左無償
茨木市通常額半額
(国基準、独自無償化は未確認)
無償
池田市通常額半額
(国基準、独自無償化は未確認)
無償
箕面市通常額半額
(令和5年4月〜対象きょうだいの数え方を拡大)
無償
和泉市無償化予定
(令和8年9月〜)
無償
(令和6年9月〜)
無償
寝屋川市通常額無償
(令和5年10月〜、独自)
無償
摂津市通常額半額
(国基準、独自無償化は未確認)
無償
守口市無償
(平成29年4月〜、全国初・全年齢・所得制限なし。私立幼稚園の一部と市外の認可外施設は対象外)
無償無償
門真市通常額半額
(国基準、独自無償化は未確認)
無償
四條畷市無償化予定
(令和8年9月〜)
無償
(令和5年4月〜)
無償
大東市無償化予定
(令和8年9月〜)
無償
(令和6年9月〜)
無償
八尾市無償化予定
(令和8年9月〜、2歳児クラスは令和2年9月〜先行して独自に無償)
無償
(令和6年9月〜)
無償
高石市通常額半額
(国基準のまま)
無償
松原市無償化予定
(令和8年9月〜、推定)
無償
(令和6年9月〜、推定)
無償
交野市通常額無償相当
(令和元年10月〜、多子軽減カウントの所得制限撤廃)
無償

兵庫県(10市)

第1子第2子第3子以降
神戸市通常額半額無償
西宮市通常額無償
(令和6年度〜、所得制限なし)
無償
尼崎市通常額半額無償
姫路市通常額所定額
(国基準準拠)
無償
明石市通常額無償
(平成28年9月〜、所得・年齢制限なし)
無償
宝塚市通常額無償無償
川西市通常額半額無償
芦屋市通常額多子軽減規定による
(詳細未確認)
無償
三田市通常額半額無償
伊丹市通常額無償
(令和5年9月〜、所得制限なし)
無償

奈良県(8市町)

市町第1子第2子第3子以降
奈良市通常額無償
(令和5年4月〜、所得・年齢制限なし)
無償
生駒市通常額無償
(令和6年4月〜)
無償
橿原市通常額無償
(令和5年4月〜、独自)
無償
大和郡山市通常額半額
(国基準、独自無償化は未確認)
無償
香芝市通常額無償
(令和5年4月〜、所得・年齢制限なし)
無償
王寺町通常額無償
(平成26年〜、令和7年度に要件撤廃)
無償
三郷町通常額半額
(国基準、独自無償化は未確認)
無償
斑鳩町通常額半額
(国基準、独自無償化は未確認)
無償

事例:隣接する守口市と門真市を比べてみる

この差がどれだけ具体的な金額になるか、隣接する守口市と門真市を例に試算してみます。両市は行政区域が隣り合っているだけでなく、消防は「守口市門真市消防組合」として共同運営されているほど生活圏が一体化しています。それでも保育料は対照的で、守口市は全国の市で初めて、平成29年(2017年)4月から所得制限なしで0〜5歳児の保育料を無償化しました(私学助成を受ける私立幼稚園には上限があり、守口市外の認可外保育施設は対象外という点は留意)。一方の門真市は今回の調査では独自の軽減策が確認できず、国の基準(第1子は通常額、第2子は半額)のままである可能性が高い状況でした。

仮に1人あたりの保育料を7万円とし、0〜2歳児クラスの子供が2人いる世帯で試算すると、守口市なら保育料は0円で済むのに対し、門真市では第1子7万円+第2子半額3.5万円で月10.5万円かかる計算になります。差額は月10.5万円、年間では約126万円。電車で一駅、行政区域が隣り合っているだけの違いで、これだけの差が生まれるというのが保育料の実態です。

まとめ

今回調べて一番の収穫は、「保育料は所得だけでなく、住む自治体で数万円単位で変わる」という実感を数字で裏付けられたことです。特に大阪府は令和6年9月から令和8年9月にかけて、守口市(平成29年〜)のような先行事例に続く形で、府内の主要市がほぼ足並みを揃えて第2子・第1子の無償化に動いており、これは他の都道府県ではあまり見られない動きだと感じました。一方の兵庫県・奈良県は自治体ごとの温度差が大きく、兵庫県の明石市や奈良県の王寺町のように早くから独自路線を走ってきた自治体と、国基準のまま据え置いている自治体が混在しています。「表に◯◯は未確認」と書いた自治体については、引っ越しや保活を具体的に検討する段階で、必ず各市町村の最新の公式情報を確認することをおすすめします。

ただし、これはあくまで令和8年時点の一時的な状況だと捉えておいた方が良さそうです。大阪府内では市同士が足並みを揃えて無償化を拡大していますし、国自体も幼児教育・保育の無償化の対象年齢を段階的に広げてきた経緯があります。今は自治体間の差が大きく見えても、数年後には多くの自治体が横並びで「実質無償」に収れんしていく可能性は十分にあります。逆に言えば、保育料の差だけを理由に住む場所を決めるのはリスクもあるということです。国や都道府県の子育て支援施策の動向は、今後も継続してウォッチしておきたいと思います。

なお、本記事は専門家ではない一個人が公開情報を調べてまとめたものであり、内容の正確性を保証するものではありません。あくまで参考程度にとどめていただき、実際に引っ越しや保活を検討される際は、必ず各自治体の窓口や公式サイトで最新の情報をご確認ください。