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思うこと 投資戦略 2026年9月10日

「NISA貧乏」への違和感|20代の家・車・思い出は資産形成の邪魔なのか

https://x.com/thcom_tw/status/2097831204334788929

先日、Xでこんな投稿を見かけました。「20代で住宅や車を買うと資産形成が遠ざかる」という趣旨の批判です。若いうちの支出を我慢して積立投資に回した方が、将来的には圧倒的に有利になる、という主張自体は、算数としては正しいと思います。ただ、これを読んで自分の中にずっとあった違和感が言語化できた気がしたので、今回はそれを整理してみます。

複利の力そのものは否定しない

まず前提として、若いうちから積立投資を続けることの威力は自分も強く実感しています。複利は時間を味方につけるほど効いてくるので、20代・30代のうちに種銭を作って運用に回すのは資産形成の王道です。試しに、年利5%で20年間運用した場合の数字を出してみます。

今の金額20年後(年率5%運用)
1万円約2.65万円
1,000万円約2,653万円

1.05の20乗はおよそ2.65倍なので、今1,000万円分の消費を我慢して運用に回せば、20年後には理論上2,600万円を超えて返ってくる計算です。さらに毎年積み立てを続ければ、その分だけ将来受け取れる金額はどんどん積み上がっていきます。だからこそ「若いうちから積極的に投資すべき」というのは、資産形成の観点だけで見れば間違いなく正しいアドバイスです。

お金だけを最適化することが、本当に最適解なのか

ただ、ここで立ち止まって考えたいのが「金銭的な資産を最大化することが、人生の最適解なのか」という点です。資産形成のために家賃を切り詰めてマイホームを我慢し続けるのが、果たして幸せなのか。自分はここに強い疑問を持っています。

マイホームを買うのは、単なる消費ではなく、家族との思い出を築くための投資でもあります。子供部屋を用意する、庭でバーベキューをする、そういう体験そのものに価値があると思っています。

車についても同じことが言えます。地域にもよりますが、車があるかないかで行動範囲や機動力はまったく変わります。我が家もDINKSになった当初は「節約のために車は不要」と考えていました。ですが、駐車場代を払ってでも車を持つようになってから、思い立ったら遠くまで出かけられるようになり、電車ではアクセスしづらい場所にも気軽に行けるようになりました。レンタカーを借りずに深夜移動で帰省したこともあります。車は所有欲を満たすための道具ではなく、便利さや旅行の思い出を買っているのだと今は感じています。

ちなみに我が家では、車種として軽自動車という選択肢は最初から考えていません。車内空間の快適性と、万一の事故の際のリスクを考えると、家族を乗せる車としては普通車を選びたいと思っているからです。

「年100万円の不労所得」は、犠牲にするものに見合う対価か

冒頭の投稿では「2,000万円を築けば、年5%で年100万円の不労所得が得られる」という点も強調されていました。年100万円の不労所得というのは確かに大きな金額で、自分自身も今それくらいの利息収入を得ています。ただ、これを得るために思い出や快適さを犠牲にするには、個人的には対価として安すぎると感じています。

金融資産を切り崩さずに増やすことだけを目指すよりも、自分や家族に投資して、それ以上のリターンを稼げるスキルを磨く方が、よほど前向きで人生も豊かになるはずです。年100万円の不労所得を得るために多くのものを犠牲にするのは、正直なところ本末転倒だと思っています。

20代という時間の価値を、過小評価していないか

そしてもう一つ、強く伝えたいのが「時間の価値」です。最近よく聞く「NISA貧乏」という言葉のように、節約してNISAの非課税枠を埋めることそのものが目的化してしまうスタイルには危うさを感じています。

自分ももうすぐ40代になりますが、1億円や2億円を払ってでも20代に戻れるなら戻りたいと本気で思います。それくらい、20代という時間には値段がつけられないほどの価値があります。その大切な時期を、NISAの枠を埋めるためだけの過度な節約に費やしてしまうのは、人生の一部を放棄しているのと同じではないでしょうか。それで本当によいのか、多くの人に問いたいところです。

以前ニュースで「NISA貧乏」が取り上げられているのを見たことがあります。NISAの枠を埋めきれないことを理由に、交際相手と別れてしまった30代の方の話でした。その選択が本当に幸せにつながるのか、自分には正直わかりません。少なくとも、結婚して、子供を持って、マイホームを構えて、自家用車を持って、というのは一見すると単なる消費行動に見えるかもしれませんが、自分の人生を確実に豊かにしてくれています。今こういう生活をしている自分は、幸せだと感じています。

誤解してほしくないこと

ここまで書くと浪費を推奨しているように見えるかもしれませんが、そうではありません。自分自身、日々の節約はしていますし、今でもポイ活はしっかりやっています。基本的には安いものを好みますし、無駄遣いをしたいわけでもありません。

ただ、旅行のような体験については、金額の安さで選ぶのではなく、体験そのものの価値にお金を払うようにしています。つまり、何でもかんでも切り詰めるのではなく、メリハリをつけることが大事だと思っています。

まとめ:資産形成には賛成、でも時間価値も忘れないでほしい

改めて整理すると、自分の考えはこうです。

  • 複利を味方につけた積立投資は、資産形成の手段として非常に有効。これ自体は否定しない
  • ただし、金銭的な資産の最大化だけを人生の最適解とするのは危うい
  • マイホーム・車・旅行などの体験は、思い出や快適さという形で確実にリターンをもたらしている
  • 年100万円程度の不労所得のために、20代の時間や家族との思い出を犠牲にするのは割に合わない
  • 独身・子供なし・賃貸・車なしが資産効率としては最も合理的なのは理解しつつも、それが自分の目指す人生かは別問題

独身で、子供を持たず、賃貸に住み、車も持たない生活が、資産形成の効率だけを見れば最も合理的なのは、自分もよく理解しています。ですが、それで本当に自分が幸せなのか、自分が思い描く人生に近づけているのか。資産形成の手法を学ぶのと同じくらい、この問いにも向き合う価値があると思っています。